●源泉徴収、個人か法人かの判定 |
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所得税法では、法人(人格のない社団などを含む)に対して報酬、料金などを支払う際の源泉徴収については、特定の場合を除き、規程がありません。
したがって、法人に対して報酬、料金などを支払う場合は、源泉徴収を要しないこととなります。
支払を受ける者が研究会、劇団等の団体などであって人格のない社団等に該当するか否か明らかでない場合には、次のいずれかに掲げるような事実をあげて、人格のない社団などであることを立証した場合には、源泉徴収の必要はありません。
(1)法人税を納付する義務があること。
(2)定款、規約、日常の活動状況などから、団体として独立して存在していること。 |
●−印紙税−個人が作成する受領書の取扱い |
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印紙税において、第17号文書の「金銭又は有価証券の受取書」であっても、受取人にとって、受け取った金銭などが営業に関しないものである場合には、非課税となります。
そして、受取人が個人の場合には、次のように取り扱われます。
「商人」としての行為は営業になる一方、事業を離れた私的日常生活に関するものは営業にはなりません。
なお、店舗などの設備がない農業等を行っている者が自分の生産物を販売する行為や、医師、弁護士、税理士などのいわゆる自由職業者の行為に関して作成される受領書は、営業に関しないものとして取り扱われます。 |
●別荘の譲渡損の損益通算 |
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別荘のように「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は、他の各種所得との損益通算ができません。
損益通算とは、不動産所得、事業所得、山林所得または譲渡所得(一定の居住用財産に係るもの)の金額の計算上生じた損失の金額を他の各種所得の金額から控除して通算することをいいます。
したがって、同じ種類の所得のうちに、黒字のものと赤字のものがあり、これを差引計算することは損益通算ではありません。
もし、別荘以外に土地の譲渡益があった場合は、その譲渡益から別荘の譲渡損を控除して、譲渡所得金額を計算することができます。 |
●通勤定期代の非課税限度額 |
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電車やバスで通勤する人には、会社から定期券が支給されたり、給与に通勤手当として一か月分の定期代が含まれたりしています。税法では通勤に要する費用は、一定の限度額まで非課税となっています。
その限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な方法による金額です。
そして、その金額が一か月当たり一〇万円を超える場合には、一〇万円が非課税の限度額となります。
なお、新幹線を利用した場合の運賃の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。 |
●カーテンは消耗品か固定資産か |
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一枚の価額が一〇万円未満のカーテンを数枚購入した場合に、それが消耗品となるのか、固定資産となるのかで判断に迷うことがあると思います。
この場合、カーテンは一枚だけで機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされてはじめて、その機能を発揮するものと考えられます。
したがって、カーテンの取得価額は、部屋ごとに購入した金額で判断することになります。
一部屋分のカーテンの購入金額が一〇万円未満なら消耗品として損金経理すれば、その事業年度の損金の額に算入されます。一〇万円以上二〇万円未満の場合は一括償却資産とすることができ、二〇万円以上の場合は「器具及び備品」に計上し、その耐用年数は三年となります。 |
●労働組合主催の運動会への援助金 |
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労働組合のレクリエーション活動として、組合の役員と組合員、その家族等が参加する、労働組合主催の運動会が開催されることがあります。そのような場合、会社がその運動会に援助金を支給することもしばしばあると思います。
労働組合に対して、使用者としての立場である会社が、そのレクリエーション費用を援助することは、金銭の無償贈与となり、法人税法上の寄付金となります。
なお、この場合は、「一般の寄附金」として扱われ、他の「一般の寄附金」と合計して損金算入限度額の範囲で損金の額に算入されることになります。 |
●死亡保険金・退職金は「みなし相続財産」 |
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相続や遺贈等で得た財産ではなくても、実質的に同じであれば、法律的には相続や遺贈等によって得た財産とみなして相続税が課せられる場合があります。これが「みなし相続財産」で、死亡保険金や死亡退職金が代表的なものです。
死亡保険金は、被相続人の死亡によって受け取る保険金で、被相続人が保険料を負担していたものであり、法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。
ただし、非課税限度額適用は受取人が相続人である場合に限られます。
死亡退職金は、被相続人の死亡で相続人等に支払われた退職金です。死亡退職金も法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。 |
●死亡保険金・退職金は「みなし相続財産」 |
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相続や遺贈等で得た財産ではなくても、実質的に同じであれば、法律的には相続や遺贈等によって得た財産とみなして相続税が課せられる場合があります。これが「みなし相続財産」で、死亡保険金や死亡退職金が代表的なものです。
死亡保険金は、被相続人の死亡によって受け取る保険金で、被相続人が保険料を負担していたものであり、法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。
ただし、非課税限度額適用は受取人が相続人である場合に限られます。
死亡退職金は、被相続人の死亡で相続人等に支払われた退職金です。死亡退職金も法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。 |
●抽選券付販売による賞金品の費用の必要経費算入時期 |
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商品等の抽選券付販売により、顧客に賞金品の抽選券や旅行、観劇などの抽選券を交付した場合の費用については、抽選券を交付した段階で誰かに賞金品の交付等をすべき債務が成立し、その段階で必要経費に算入できるのではないか、という疑問が生じます。
しかし、所得税の取り扱いでは、賞金品にかかる費用は、当選者から抽選券の引き換えの請求があった日または旅行などを実施した日の属する年分の事業所得の金額の必要経費に算入することになっています。
ただし、当選者からの請求を待たないで、賞金品を送付する場合には、抽選の日の属する年分の必要経費に算入することができます。 |
●会社設立時の消費税 |
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会社に消費税の納付義務があるか否かについては、通常、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が一千万円を超えるか否かで判定します。
設立一期目の会社については、基準期間が存在しないため、消費税は課税されないことになります。
ただし、消費税法では「新設法人」の特例があり、「新設法人」に該当する場合は、一期目、二期目の会社でも、消費税の納税義務があります。
新設法人とは「その事業年度の基準期間のない法人のうち、その事業年度開始の日における資金又は出資の金額が一千万円以上である法人」をいいます。
したがって、資本金一千万円以上で設立した会社については留意が必要です。
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●新規に消費税課税事業者になった場合の期首棚卸資産 |
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問
免税事業者から課税事業者になった場合、期首棚卸資産は仕入税額控除できますか。
答
消費税免税事業者が課税事業者になった場合には、期首棚卸資産についての仕入税額控除が認められます。
なお、棚卸資産に関する税額調整は、「原則課税」の場合についてだけ適用されるものであり、課税売上高から、みなし仕入率を適用して税額計算する簡易課税制度には、期首棚卸資産についての税額調整は認められません。
また、税額控除の適用を受ける場合には、棚卸資産の明細を記録した書類を保存することが義務付けられ、七年間保存しなければなりません。 |
●個人事業税 |
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個人事業税は、個人が営んでいる事業のうち、地方税法で定められた事業(法定事業)に対して課税される都道府県税(地方税)です。
個人事業税は、事業所・事業所(事務所等を設けないで事業を行っている場合には、住所・居所のうちその事業と最も関係の深い場所)の所在地の都道府県が課税します。
法人事業税と異なり、事業を営んでいる場合であっても、その事業が法定事業に該当しない場合には、個人事業税は課税されないことになります。
事業税の課税対象とされる法定事業は、第一種事業(物品販売業、飲食店業などの三七業種)、第二種事業(畜産業などの三業種)、第三種事業(医業、税理士業などの三〇業種)の七〇業種です。 |
●社会保険料の損金算入時期 |
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社会保険料の事業主(会社)負担分については、その社会保険料の計算の基礎となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができることとされています。
したがって、たとえば三月決算法人については、三月分の保険料(納付期限は、翌月末日であるため、四月三十日)のうち事業主負担分について、未払計上することにより、三月期の損金の額に算入することができます。
また、三月三十一日が土曜日や日曜日など金融機関の休業日に当たった場合には、保険料の口座引き落としが四月になるため、二月分の保険料(納付期限は三月三十一日)のうち事業主負担分についても、未払計上することにより、三月期の損金の額に算入することができます。 |
●非常勤役員の出社交通費 |
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所得税法では、会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与などで、常には出勤を要しない者に対し、その勤務する場所に出勤するために行う旅行に必要な運賃、宿泊費等の支出に充てるものとして支給される金品で、社会通念上合理的な理由があると認められる場合に支給されるものについては、旅費の非課税規定に準じて課税しなくて差し支えないとしています。
たとえば、大阪に住んでいる非常勤取締役が、東京で行われる取締役会に出席するために支給された交通費について、通常必要な旅費に該当するものであれば、所得税は非課税として取り扱われることになります。
通勤手当としての取扱いではありませんので、月額一〇万円の上限規定は適用されません。 |
●損害賠償金の帰属時期 |
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問
当社は欠陥商品の納品を受け、それを販売したため、その商品の回収代金等の損失を被りました。その納入業者と和解が成立し損害賠償金を受けることになりましたが、その収益はいつ計上すればいいのでしょうか。
答
原則は、その支払を受けることが確定した日の属する事業年度の益金に算入します。ただし、実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金に算入することも認められます。
ちなみに支払側は損害賠償金の額が確定した日の属する事業年度の損金として計上します。ただし、損害賠償金として申し出た金額をその申し出た日の属する事業年度の未払金として計上することも認められます。 |
●事業開始前の修繕費 |
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問
当社は、事務所開設のため中古建物を購入しました。事業開始前に、この建物に対し通常の維持管理に必要な雨漏りや床の補修工事を行なったうえで事務所として使用を開始しました。
これらの費用は修繕費でよろしいでしょうか。
答
雨漏りや床の補修工事費用は、建物の取得価額に含める必要があります。
既存の建物に対する通常の維持管理等のために要するこれらの支出は修繕費に該当するものと思われますが、購入し事業の用に供するためのこれらの支出については、減価償却資産の取得価額となります。
事業の用に供する前か後かで、このように修繕費の取扱が異なります。 |
●仮決算による中間申告にかかる未払事業所税 |
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問
本決算において、製造原価のうちに申告期限が到来していない事業所税を未払計上した場合には損金算入が認められていますが、この取扱いは仮決算による中間申告でも適用できますか。
答
適用できます。
事業所税は給与総額と建物床面積を課税標準としており、費用と収益の対応を考慮し、原価算入分の未払計上を認めています。
仮決算による中間申告は期首から六ヶ月の期間を一事業年度とみなして所得計算をすることから、本決算同様にこの期間に対応する事業所税相当額の未払計上をしたときは、損金算入が認められます。 |
●法人成りした場合の一括償却資産の取扱い |
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問
個人事業を廃止して法人成りした際に、一括償却資産を引き継ぎました。この場合、前年までに事業所得の計算上必要経費に算入していない未償却残額の取扱いはどうなりますか。
答
一括償却資産として計算した資産は、その後の譲渡、除却等に関わらず三年間で均等償却することになります。
ただし法人成りした場合には、事業が廃止されてしまいますので、一括償却資産の取得価格のうち必要経費に算入していない部分は、すべて事業を廃止した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入してよいという取扱いになっています。 |
●社歌の制作費の取扱い |
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問
当社は、従業員の労働意欲の向上・団結を図る目的とコミュニケーションのひとつとして、作曲家に依頼し、社歌を制作しました。
この費用は税務上どのように取り扱われますか。
答
この費用は著作権の取得費用と考えられます。著作権は税務上、減価償却資産ではないため、費用かできないこととなります。
しかし現実的には、この費用効果は永続するものとは考えづらく資産計上ではなく費用化するべきものと思われます。
そこで法人税法では、社歌やコマーシャルソング等の制作のために要した費用の額は、その支出日の属する事業年度の損金の額に算入してもよいという取扱いになっています。
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