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税金一口メモ

●源泉徴収、個人か法人かの判定

 所得税法では、法人(人格のない社団などを含む)に対して報酬、料金などを支払う際の源泉徴収については、特定の場合を除き、規程がありません。
 したがって、法人に対して報酬、料金などを支払う場合は、源泉徴収を要しないこととなります。
 支払を受ける者が研究会、劇団等の団体などであって人格のない社団等に該当するか否か明らかでない場合には、次のいずれかに掲げるような事実をあげて、人格のない社団などであることを立証した場合には、源泉徴収の必要はありません。
(1)法人税を納付する義務があること。
(2)定款、規約、日常の活動状況などから、団体として独立して存在していること。

●−印紙税−個人が作成する受領書の取扱い

 印紙税において、第17号文書の「金銭又は有価証券の受取書」であっても、受取人にとって、受け取った金銭などが営業に関しないものである場合には、非課税となります。
  そして、受取人が個人の場合には、次のように取り扱われます。
  「商人」としての行為は営業になる一方、事業を離れた私的日常生活に関するものは営業にはなりません。
  なお、店舗などの設備がない農業等を行っている者が自分の生産物を販売する行為や、医師、弁護士、税理士などのいわゆる自由職業者の行為に関して作成される受領書は、営業に関しないものとして取り扱われます。

●別荘の譲渡損の損益通算

 別荘のように「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は、他の各種所得との損益通算ができません。
  損益通算とは、不動産所得、事業所得、山林所得または譲渡所得(一定の居住用財産に係るもの)の金額の計算上生じた損失の金額を他の各種所得の金額から控除して通算することをいいます。
  したがって、同じ種類の所得のうちに、黒字のものと赤字のものがあり、これを差引計算することは損益通算ではありません。
  もし、別荘以外に土地の譲渡益があった場合は、その譲渡益から別荘の譲渡損を控除して、譲渡所得金額を計算することができます。

●通勤定期代の非課税限度額

 電車やバスで通勤する人には、会社から定期券が支給されたり、給与に通勤手当として一か月分の定期代が含まれたりしています。税法では通勤に要する費用は、一定の限度額まで非課税となっています。
 その限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な方法による金額です。
 そして、その金額が一か月当たり一〇万円を超える場合には、一〇万円が非課税の限度額となります。
 なお、新幹線を利用した場合の運賃の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。

●カーテンは消耗品か固定資産か

 一枚の価額が一〇万円未満のカーテンを数枚購入した場合に、それが消耗品となるのか、固定資産となるのかで判断に迷うことがあると思います。
 この場合、カーテンは一枚だけで機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされてはじめて、その機能を発揮するものと考えられます。
 したがって、カーテンの取得価額は、部屋ごとに購入した金額で判断することになります。
 一部屋分のカーテンの購入金額が一〇万円未満なら消耗品として損金経理すれば、その事業年度の損金の額に算入されます。一〇万円以上二〇万円未満の場合は一括償却資産とすることができ、二〇万円以上の場合は「器具及び備品」に計上し、その耐用年数は三年となります。

●労働組合主催の運動会への援助金

 労働組合のレクリエーション活動として、組合の役員と組合員、その家族等が参加する、労働組合主催の運動会が開催されることがあります。そのような場合、会社がその運動会に援助金を支給することもしばしばあると思います。
 労働組合に対して、使用者としての立場である会社が、そのレクリエーション費用を援助することは、金銭の無償贈与となり、法人税法上の寄付金となります。
 なお、この場合は、「一般の寄附金」として扱われ、他の「一般の寄附金」と合計して損金算入限度額の範囲で損金の額に算入されることになります。

●死亡保険金・退職金は「みなし相続財産」

 相続や遺贈等で得た財産ではなくても、実質的に同じであれば、法律的には相続や遺贈等によって得た財産とみなして相続税が課せられる場合があります。これが「みなし相続財産」で、死亡保険金や死亡退職金が代表的なものです。
 死亡保険金は、被相続人の死亡によって受け取る保険金で、被相続人が保険料を負担していたものであり、法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。
 ただし、非課税限度額適用は受取人が相続人である場合に限られます。
 死亡退職金は、被相続人の死亡で相続人等に支払われた退職金です。死亡退職金も法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。

●死亡保険金・退職金は「みなし相続財産」

 相続や遺贈等で得た財産ではなくても、実質的に同じであれば、法律的には相続や遺贈等によって得た財産とみなして相続税が課せられる場合があります。これが「みなし相続財産」で、死亡保険金や死亡退職金が代表的なものです。
 死亡保険金は、被相続人の死亡によって受け取る保険金で、被相続人が保険料を負担していたものであり、法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。
 ただし、非課税限度額適用は受取人が相続人である場合に限られます。
 死亡退職金は、被相続人の死亡で相続人等に支払われた退職金です。死亡退職金も法定相続人一人当たり五〇〇万円まで非課税扱いになります。

●抽選券付販売による賞金品の費用の必要経費算入時期

 商品等の抽選券付販売により、顧客に賞金品の抽選券や旅行、観劇などの抽選券を交付した場合の費用については、抽選券を交付した段階で誰かに賞金品の交付等をすべき債務が成立し、その段階で必要経費に算入できるのではないか、という疑問が生じます。
  しかし、所得税の取り扱いでは、賞金品にかかる費用は、当選者から抽選券の引き換えの請求があった日または旅行などを実施した日の属する年分の事業所得の金額の必要経費に算入することになっています。
  ただし、当選者からの請求を待たないで、賞金品を送付する場合には、抽選の日の属する年分の必要経費に算入することができます。

●会社設立時の消費税

 会社に消費税の納付義務があるか否かについては、通常、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が一千万円を超えるか否かで判定します。
 設立一期目の会社については、基準期間が存在しないため、消費税は課税されないことになります。
 ただし、消費税法では「新設法人」の特例があり、「新設法人」に該当する場合は、一期目、二期目の会社でも、消費税の納税義務があります。
 新設法人とは「その事業年度の基準期間のない法人のうち、その事業年度開始の日における資金又は出資の金額が一千万円以上である法人」をいいます。
 したがって、資本金一千万円以上で設立した会社については留意が必要です。

●新規に消費税課税事業者になった場合の期首棚卸資産


 免税事業者から課税事業者になった場合、期首棚卸資産は仕入税額控除できますか。

 消費税免税事業者が課税事業者になった場合には、期首棚卸資産についての仕入税額控除が認められます。
 なお、棚卸資産に関する税額調整は、「原則課税」の場合についてだけ適用されるものであり、課税売上高から、みなし仕入率を適用して税額計算する簡易課税制度には、期首棚卸資産についての税額調整は認められません。
 また、税額控除の適用を受ける場合には、棚卸資産の明細を記録した書類を保存することが義務付けられ、七年間保存しなければなりません。

●個人事業税

 個人事業税は、個人が営んでいる事業のうち、地方税法で定められた事業(法定事業)に対して課税される都道府県税(地方税)です。
 個人事業税は、事業所・事業所(事務所等を設けないで事業を行っている場合には、住所・居所のうちその事業と最も関係の深い場所)の所在地の都道府県が課税します。
 法人事業税と異なり、事業を営んでいる場合であっても、その事業が法定事業に該当しない場合には、個人事業税は課税されないことになります。
 事業税の課税対象とされる法定事業は、第一種事業(物品販売業、飲食店業などの三七業種)、第二種事業(畜産業などの三業種)、第三種事業(医業、税理士業などの三〇業種)の七〇業種です。

●社会保険料の損金算入時期

 社会保険料の事業主(会社)負担分については、その社会保険料の計算の基礎となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができることとされています。
 したがって、たとえば三月決算法人については、三月分の保険料(納付期限は、翌月末日であるため、四月三十日)のうち事業主負担分について、未払計上することにより、三月期の損金の額に算入することができます。
 また、三月三十一日が土曜日や日曜日など金融機関の休業日に当たった場合には、保険料の口座引き落としが四月になるため、二月分の保険料(納付期限は三月三十一日)のうち事業主負担分についても、未払計上することにより、三月期の損金の額に算入することができます。

●非常勤役員の出社交通費

 所得税法では、会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与などで、常には出勤を要しない者に対し、その勤務する場所に出勤するために行う旅行に必要な運賃、宿泊費等の支出に充てるものとして支給される金品で、社会通念上合理的な理由があると認められる場合に支給されるものについては、旅費の非課税規定に準じて課税しなくて差し支えないとしています。
 たとえば、大阪に住んでいる非常勤取締役が、東京で行われる取締役会に出席するために支給された交通費について、通常必要な旅費に該当するものであれば、所得税は非課税として取り扱われることになります。
 通勤手当としての取扱いではありませんので、月額一〇万円の上限規定は適用されません。

●損害賠償金の帰属時期


 当社は欠陥商品の納品を受け、それを販売したため、その商品の回収代金等の損失を被りました。その納入業者と和解が成立し損害賠償金を受けることになりましたが、その収益はいつ計上すればいいのでしょうか。


 原則は、その支払を受けることが確定した日の属する事業年度の益金に算入します。ただし、実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金に算入することも認められます。
 ちなみに支払側は損害賠償金の額が確定した日の属する事業年度の損金として計上します。ただし、損害賠償金として申し出た金額をその申し出た日の属する事業年度の未払金として計上することも認められます。

●事業開始前の修繕費


 当社は、事務所開設のため中古建物を購入しました。事業開始前に、この建物に対し通常の維持管理に必要な雨漏りや床の補修工事を行なったうえで事務所として使用を開始しました。
  これらの費用は修繕費でよろしいでしょうか。


 雨漏りや床の補修工事費用は、建物の取得価額に含める必要があります。
  既存の建物に対する通常の維持管理等のために要するこれらの支出は修繕費に該当するものと思われますが、購入し事業の用に供するためのこれらの支出については、減価償却資産の取得価額となります。
  事業の用に供する前か後かで、このように修繕費の取扱が異なります。

●仮決算による中間申告にかかる未払事業所税


 本決算において、製造原価のうちに申告期限が到来していない事業所税を未払計上した場合には損金算入が認められていますが、この取扱いは仮決算による中間申告でも適用できますか。


 適用できます。
事業所税は給与総額と建物床面積を課税標準としており、費用と収益の対応を考慮し、原価算入分の未払計上を認めています。
 仮決算による中間申告は期首から六ヶ月の期間を一事業年度とみなして所得計算をすることから、本決算同様にこの期間に対応する事業所税相当額の未払計上をしたときは、損金算入が認められます。

●法人成りした場合の一括償却資産の取扱い


 個人事業を廃止して法人成りした際に、一括償却資産を引き継ぎました。この場合、前年までに事業所得の計算上必要経費に算入していない未償却残額の取扱いはどうなりますか。

 一括償却資産として計算した資産は、その後の譲渡、除却等に関わらず三年間で均等償却することになります。
 ただし法人成りした場合には、事業が廃止されてしまいますので、一括償却資産の取得価格のうち必要経費に算入していない部分は、すべて事業を廃止した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入してよいという取扱いになっています。

●社歌の制作費の取扱い


 当社は、従業員の労働意欲の向上・団結を図る目的とコミュニケーションのひとつとして、作曲家に依頼し、社歌を制作しました。 この費用は税務上どのように取り扱われますか。

 この費用は著作権の取得費用と考えられます。著作権は税務上、減価償却資産ではないため、費用かできないこととなります。
 しかし現実的には、この費用効果は永続するものとは考えづらく資産計上ではなく費用化するべきものと思われます。
 そこで法人税法では、社歌やコマーシャルソング等の制作のために要した費用の額は、その支出日の属する事業年度の損金の額に算入してもよいという取扱いになっています。

●借地権の更新料の取扱いについて


 法人が借地権の更新料の支払いをした場合、どのような取扱いとなるのでしょうか。

 支払った更新料は借地権の帳簿価額に加算されることとなり、損金に算入されません。
  ただし、更新直前の帳簿価額に更新時の借地権の価額(時価)のうち、その更新料の額の占める割合を乗じて計算した金額をその事業年度の損金の額に算入ることとなります。
  借地権は土地同様、減価償却資産ではないため契約期間で償却することはできませんが、更新時までの存続期間において権利としての価値が減少したものと考え、一定の金額を損金の額に算入するという取扱いとなっています。

●配当金を源泉徴収しなかったときの取扱い


 非上場会社が一〇〇万円の配当を支払う場合、二〇万円(二〇%)の源泉徴収が必要ですが、この二〇万円を徴収しないで一〇〇万円を支払ったときは、どのように取り扱われるのでしょうか。

 一二五万円の配当金の支払いに対し二五万円の源泉徴収があったものとして取り扱われます。
  よって追加で納付する所得税二五万円について仮払金として経理し、相手に求償する場合には、仮払金として経理しても差し支えありません。

●見込納付をしても無申告加算税は・・・


 当社は、確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けていますが、決算期から二月以内に九〇〇万円の見込納付を行い、その後の延長期限内に確定申告書の提出を行わなかった場合、無申告加算税の計算はどのようになるのでしょうか。期限後申告による確定法人税額は一千万円です。

 この場合、差額の一〇〇万円ではなく一千万円が無申告加算税の計算と基礎となります。無申告加算税の計算の基礎は「納付すべき税額」と規定されているからです。
 無申告加算税の税率は、納付税額五〇万円以下の部分が十五%、五〇万円超の部分が二〇%(自主申告の場合は全て五%)となります。期限内に見込納付をしても無申告加算税の計算上は関係がありません。


●医師が支払った損害賠償金


 私は、病院を経営する医師ですが、誤診により手術が手遅れとなり、患者を死亡させてしまいました。そのため、紛争が生じ、私は職業柄、外聞を恐れ遺族との間で交渉した結果、示談が成立し、一千万円を支払いました。
 この場合の示談金は私の事業所得の計算上、必要経費に算入されますか?

 医師の誤診により紛争が生じていますが、刑事責任の追及が行われていないことを鑑みると、その誤診が故意又は過失に基づくものではないと解されますので、この示談金は必要経費に算入することができます。
 その誤診が故意又は重大な過失による場合は、必要経費算入が認められません。


●控除対象配偶者に該当しますか?


 昨年、私と妻で五〇%ずつ所有している自宅を売却し、それぞれ一千万円ずつ譲渡益が計算されましたが、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けたので、譲渡所得の金額はありませんでした。妻は専業主婦でこれ以外に収入はありませんが、私の所得税の計算上、控除対象配偶者とすることはできるのでしょうか?

 できません。
 控除対象配偶者は、その年の合計所得金額が三八万円以下と定められています。この合計所得金額は租税特別措置法に定められている特例の適用前の金額とされています。
 従って奥様の合計所得金額は一千万円となり、控除対象配偶者には該当しません。


●過去に遡及して扶養手当を返還した場合


 当社は給与規程に従い扶養手当を支給しています。
 この度、従業員に扶養手当の不正受給が発覚しましたので過去二年間に遡り、返還させることとしました。これとあわせて過去二年分については扶養控除の適用も受けられないこととなりました。
 この場合、所得税額の計算はどのようにすればよいのでしょうか?

 過去の手当等を遡及して返還させた場合の返還金は、その返還させた日の属する年分の給与から減算するのではなく、手当等が支給された年分の給与を遡及して訂正することとなります。また、扶養控除についても各年分に遡及して再計算することとなります。


●ゴルフ会員権の所有期間の判定


  私は、Yカントリークラブのゴルフ会員権(預託金方式)を平成二年に二〇〇万円で購入しました。その後、平成十八年に一八ホール増設に伴い三〇〇万円の追加保証金を支払いました。本年八月にこのゴルフ会員権を六〇〇万円で譲渡しましたが、追加保証金として支払った部分については短期譲渡所得となるのでしょうか?


 ご質問の追加保証金は、コースの増設に伴い支払われたものであって資産価値を増加させる資本的支出に類似するものと考えられ、新たな会員権を取得するために支払われたものではありません。従って、二〇〇万円と三〇〇万円に相当する部分を区分して所有期間を判定する必要はなく、すべてが長期譲渡所得(総合)に該当します。
  なお、この掛金は小規模企業共済等掛金控除の大正となります。


●小規模企業共済制度の掛金


  当社の社長は、小規模企業共済に加入しており、先日、その掛金を当社の費用として支払いましたが、どのように処理すればよろしいですか?


 一定規模以下の法人の役員は小規模企業共済制度に加入できます。個人が加入する制度で、掛金はその個人が負担すべきものです。
  従って、役員の掛金を法人が支払った場合には、その役員に対する給与とされ、この役員給与となる金額は、その経済的利益の額が毎月概ね一定であると認められますので、定期同額給与に該当し、原則として損金算入されます。しかし、過大役員給与に該当する場合には損金不算入とされます。
  なお、この掛金は小規模企業共済等掛金控除の大正となります。


●印紙税の還付請求権の消滅時効


  印紙税の還付請求期限はいつまでですか。


  国税に係る過誤納金の国に対する請求権は、その請求することができる日から五年を経過することにより消滅することになっており、印紙税に関しても同様です。
  「請求することができる日」とは、例えば、印紙納付の方法によるものであれば印紙を貼り付けた日です。
  したがって、還付についての確認申請書及び過誤納の事実を証するために必要な文書その他の物件をすべて備えて納税地の所轄税務署長に提出及び提示したときを基準として、印紙を貼り付けた日から五年を経過しているかどうかにより判断します。


●特定の使用人を接待する費用


  使用人の退職を防止するために特定の使用人を高級料理店等においてもてなした場合には、その費用は福利厚生費、交際費等、給与のいずれに該当するのでしょうか?


  交際費等に該当します。
役員及び使用人の全員を対象として慣行的に行われる慰労会等の費用で通常必要と認められる費用は、福利厚生費に該当します。
また、役員又は使用人の接客費用を法人が負担した場合であってもそれが個人的費用であって法人の業務とは関係がないときは、その役員又は使用人に給与を支給したものとされます。
  ご質問の場合は、福利厚生費にも給与にも該当しないことから、交際費等に該当することとなります。

 
●還付申告書の提出期限


  私は会社員ですが、過去の年分の医療費等を調べたところ、医療費控除の適用を受けられることが判明しました。
この場合何年分遡って還付申告書を提出することができますか?


  所得税法では、医療費控除等を適用する場合のように、確定申告書を提出する義務はないものでも源泉徴収税額や予定納税額が納めすぎになっている場合には、その納めすぎになっている税額の還付を受けるための還付申告書を提出することができることになっています。
還付申告書の提出は、還付申告する年分の翌年一月一日から五年間行う事ができます。
  したがって、これまでに申告をしていなかった場合は、平成十五年分までの医療費控除について遡って申告することができます。

 
●未分割遺産から生ずる所得の帰属者


  亡父の賃貸アパートを兄弟三人で共同相続しましたが、現在、遺産分割協議中です。この不動産から生ずる所得は、どのように取り扱われるのでしょうか?


  共同相続財産について未分割である場合のその相続財産は、各共同相続人の共有に属するものとされますので、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人に、その相続分(遺言により相続分の指定があるときは指定相続分、それ以外の場合は法定相続分)に応じて帰属するものと解されます。
  なお、後日、遺産分割された場合でも、過去の申告を訂正する必要はなく、その分割の日以後に生じた不動産所得は実際に相続した人の相続分に応じて申告することとなります。

 
●障害に基因して退職した場合の退職所得控除額の計算

 退職者が在職中に所得税法に規定する障害者になったことにより、その日以後ほとんど勤務に復さず退職した場合、その者の退職所得控除額は、原則として、通常の退職所得控除額に100万円を加算した金額とされています。
なお、次に掲げる場合には、障害者に該当するものとして取り扱われます。

(1)
  障害者に該当することとなった後一応勤務に復したが、平常の勤務に復することができないままその勤務に復した後概ね六ヶ月以内に退職した場合

(2)
  障害者に該当することとなった後一応平常の勤務には復したが、その勤務に耐えられないで、その勤務に復した後概ね二ヶ月以内に退職した場合

 
●前払地代の必要経費算入時期


 私は開業医(青色申告)で、医院は借地の上に建て、地主に毎年七月末日に一年分の地代を先払いしています。昨年分までは地代の必要経費算入については期間対応で計上していましたが、本年から支払いの都度必要経費に算入したいと思っていますが認められますか?


  各種所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、その年に債務確定しているものですから、その年に支払った前払費用の額は、その年分の必要経費に算入されません。
  しかし、前払費用の額でその支払った日から一年以内に役務の提供を受けるものは、その支払った金額を継続して支払日の属する年分の必要経費としているときは、それを認めることとしています 。


●保障債務の履行による損失


 私は洋服の卸売業者ですが、取引先の借入金の保証人となってしまいました、この度、その取引先が倒産して行方不明になったために保障額の100万円を支払いました。この求償権の行使は到底不可能ですが、その損失を本年分の事業所得の必要経費に算入できますか。なお、その取引先とは10年来の取引で、取引高は売上高の50%程度を占めており、今後の受注増加も約束されていました。


  所得税法では、事業遂行上生じた保証債務の履行に伴う求償権が行使不能になった場合、必要経費として認められます。ご質問の場合は、保証人となった背景から、その保証債務は事業遂行場生じたものと考えられますので、本年分の必要経費に算入して差し支えないと思われます。


●解雇予告手当


 私は、会社の業績不振のため、先月突然解雇されました。その際、会社から退職金1000万円のほか解雇予告手当50万円の支払いを受けました。この解雇予告手当は給与所得の収入金額となるのでしょうか?


  いいえ、退職所得として取り扱われます。
 労働基準法では、原則として「使用者は労働者を解雇するときは、少なくとも30日前にその予告をしなければならず、その予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金を払わなければならない」こととされています。
  この規程によって支払われた解雇予告手当は、解雇すなわち退職を原因としての一時に支払われるものですから、退職所得に該当することとなります。


●青色申告特別控除により20万円以下となった不動産所得


 本年分の私の所得は、給与の年間収入900万円の他、青色申告の承認を受けている不動産所得16万円(青色申告特別控除額10万円を控除後)です。確定申告の必要がありますか?


 給与所得及び退職所得以外の所得金額が給与所得者の確定申告不要の限度額20万円以下であるかどうかは、確定申告書への記載を要件とする所得計算の特例を適用しないで判定します。

10万円の青色申告特別控除は所得計算の特例のひとつですが、青色申告書提出の承認を受けている人の、その承認を受けている年分に適用があり、確定申告書への記載は要件とされていません。従って、確定申告する必要はありません。


●社会保険料の遅滞金


  当社は一時的な資金事情の悪化により、社会保険料の納付が遅れてしまい、延滞金を支払いました。国税・地方税の延滞税や延滞金は損金不算入と聞いていますが、社会保険料に係る延滞金も損金不算入なのでしょうか?


  いいえ、損金算入することができます。
  法人税等の国税、それらに係る延滞税、加算税等や地方税法の規定による都道府県民税、市町村民税、それらに係る延滞金等は損金不算入とされています。
  一方、社会保険料等も納付遅延により延滞金が課されます。ただし、社会保険料等は厚生年金保険法等の諸規定に基づくもので、国税や地方税法の定めによるものではありませんので社会保険料に係る延滞金は損金算入することができるのです。


一括償却資産を除却等した場合


 当社は10万円以上20万円未満の固定資産について、いわゆる、一括償却資産(36ヶ月償却)の取扱いをしています。
このたび、前期に取得した一括償却資産の全部を除却したのですが、その未償却残高の全額を損金算入することができますか ?


 残念ながら除却時に未償却残高の全額を損金算入することはできません。
  一括償却資産はその償却対象額を一つにまとめて事業年度ごとに償却するため、税務上、個々の管理はされていないことが前提とされています。
  従って、その一括償却資産を事業の用に供した事業年度後の各事業年度において、その全部又は一部について除却等した場合であっても、各事業年度において損金算入される金額はその除却等がなかったものとした場合に計算される損金算入限度額となります。


社会保険診療報酬を返還した場合の必要経費算入時期


 内科医である私は、社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用を受けて確定申告しています。
  先日、社会保険監査で昨年の社会保険診療報酬が過大であるとされ、昨日、その過大請求分を返還しました。この返還した報酬はどのように取扱われますか?


 事業所得金額の計算の基礎となった事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたことによって生じた損失の金額は、その損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入します。したがって、ご質問の返還した報酬の額は本年分の必要経費に算入します。


●商品体験モニターに支払う謝礼金に対する源泉徴収


 当社は、アメリカからダイエット機器を輸入し、国内で販売しています。このたび、商品の拡販戦略として、一般公募により、1ヶ月間商品を連続使用してもらい、使用した感想文を提出するモニターを30人ほど集めました。
  その報酬は一律5万円を予定していますが、その支払の際、源泉所得税は徴収するのですか?


 ご質問の場合は、感想文に対する報酬の支払と考えられますので、所得税法に規定する原稿料の支払として原則として10%の源泉所得税を徴収する必要があると考えられます。


●法令によりやむを得ず家族名義とした場合


 父は分譲住宅の購入申込にあたり、その当選確率を上げるため、父と長男の名義で申込をしたところ、長男が当選し、やむを得ず長男名義で住宅地を購入しました。しかし実際は、その全額を父が負担していますが、長男に贈与税が課せられるのでしょうか?


 家族名義により財産の取得が行われた場合には、原則としてその名義人に贈与税が課せられますが、家族名義の不動産の取得等が法令に基づく所有の制限その他これに準ずる真にやむを得ない理由に基づいて行われたもので、その名義の貸借がお互いの合意のうえでなされたものであり、かつ、その事実が確認できる場合には贈与はなかったものとして取扱うことができます。


●従業員等に交付する創立記念品費用


  当社は創立十周年を記念して全従業員及び取引先にも記念品を贈呈したいと思いますが、これらの費用について税務上の取扱いを教えて下さい。


  取引先等社外の者に対する記念品の費用は、交際費等の額に含まれます。また従業員に対してのこれら費用は原則として給与として取り扱われます。
  しかし、従業員に対して交付した記念品で、次の要件のいずれにも該当する場合は課税されないこととされています。

1 社会通念上記念品としてふさわしいもので、処分見込価額により評
   価した価額が一万円以下であること
2 創業後概ね五年以上の期間ごとに支給するものであること


●従業員が起こした交通事故により内払いした入院費等


  当社の従業員Aが、先日商品の配送中に交通事故を起こしました。Aの前方不注意による追突事故ですが、相手の運転が不慣れで急ブレーキを踏んだことも原因のようです。そこで、当社は被害者に対し入院費を支払いましたが、当期中に示談が成立しそうにありません。この支出はどのように処理するのでしょうか?


  業務遂行上の交通事故により被害者に支払う入院費用は損害賠償金の一部として、示談成立等による損害賠償金額の確定前であっても、その自動車事故が故意または重過失に基づかないものである限り、その支出の日の属する事業年度において給与以外の損金の額とすることができます。


●未分割財産から生ずる所得


 父の死亡により、貸アパートを母、兄と私の三人で共同相続しましたが、遺産分割協議中です。この不動産から生ずる所得は母の名義の預金口座で管理していますが、その所得全額を母の所得として申告するのでしょうか?


 共同相続財産が未分割である場合のその相続財産は、各共同相続人に属するものと解されています。従って、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属し、各共同相続人は法定相続分に応じて申告することとなります。
 たとえ、特定の者がその所得を管理している場合であっても、その特定の者だけにその所得が帰属するものとして、全額をその人の所得として申告することはできません。


仕入割引・売上割引は利息?


 買掛金をその支払期日よりも前に支払ったことにより仕入先から収受した仕入割引は受取利息と同質のものであると考え、消費税の計算上、非課税売上として取り扱ってよいのでしょうか?


 仕入割引や売上割引は、会計上は利子的な性格を有するものとして営業外損益として処理することとされていますが、消費税法上は、返品・値引などと同様に、仕入代金や売上代金のマイナス項目として取り扱うこととされています。
 したがって、ご質問の仕入割引は課税仕入項目のマイナスとして取扱い、仕入税額控除額を減少させることとなります。


●相続を放棄した代襲相続人の相続税の二割加算


 被相続人甲の長男乙は相続開始以前に死亡しており、乙の長女丙が甲の代襲相続人となりましたが、相続放棄をしています。しかし、甲からの遺贈財産があるため相続税申告をする必要がありますが、この場合、相続税法一八条の規定による相続税額の二割加算の適用を受けるのでしょうか?


 同規定の適用を受けるのは、相続等により財産を取得した者が、その被相続人の一親等の血族及び配偶者以外である場合です。この場合の一親等の血族には代襲相続人を含みます。
 しかし、相続放棄した代襲相続人は相続人ではなくなり、一親等の血族でもないわけですから同規定適用を受けることとなります。


●自社レストランを接待に利用する場合の交際費等の額の取り扱い


 当社はレストラン経営をしておりますが、得意先の接待のために当社のレストランを利用しています(料金は支払っていません)。この場合の交際費等の金額は、売上金額としなければならないのでしょうか?


 交際費等とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のため支出するもの」とされています。
 したがって、ご質問の場合の交際費等の金額は、売上金額ではなく、売上原価(材料費、人件費その他の諸費用)の金額によることとされます。


●消費税の届出履歴の確認を!

 簡易課税を選択していた事業者が、基準期間の課税売上高が免税点である1千万円以下となり消費税の納税義務を免除され、その後に基準期間の売上高が1千万円超5千万円以下となり、再び課税事業者となった場合の仕入税額控除額計算は、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出していない限りは、簡易課税によることとなります。
  また、簡易課税を選択していた事業者が、基準期間の課税売上高が5千万円を超え、原則課税による仕入税額控除額計算をしている場合においても、その後に基準期間の課税売上高が1千万円超5千万円以下となったときは、簡易課税による仕入税額控除額計算をすることとなります。
  一度、届出書の履歴をご確認されてはいかがでしょうか?


●社葬費用と香典

 法人が、その役員又は使用人が死亡したために社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが死亡した役員などの地位、会社に対する功績等を総合勘案して、相当と認められるものであり、かつ、その負担した費用が社葬のために通常要するものであると認められるときは、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。
  なお、社葬のために通常要する費用とは、通常は、会葬のための費用をいい、遺族が個人的に負担すべき密葬の費用、墓石及び墓地の購入費、戒名料、法会に要する費用などはこれに含まれません。
  また、会葬者の持参した香典等を遺族の収入とした場合には、法人の収入としないことができます。


●社名変更に伴う費用の税務処理

最近、企業イメージの一新のため社名変更を行う会社が少なくありません。この社名変更費用の税務上の取扱いは次のとおりです。

  1. コンサルティング費用
    その支出の効果が一年以上に及ぶものと認められますので、繰延資産である開発費として取り扱い、任意償却することができます。
  2. ロゴマーク等の商標登録費用
    商標権の登録費用は、無形固定資産の商標権として取扱い、耐用年数10年として償却します。
  3. メディアへのPR広告費用
    PR広告費用や不特定多数の者に配布する小額物品に係る費用は、広告宣伝費として損金参入します。

●メーカーが掛金を負担する障害保険


 当社は自動車メーカーですが、製品の販売促進を目的として、商品附帯方式で交通傷害をサービスしています(購入者は個人に限定)。掛金は当社で負担しますが、保険金は購入者に支払われます。
 この場合の保険料及び保険金の課税上の取扱いを教えてください。

  1. 保険料について(法人税)
    貴社が負担した保険料は、一般的には販売促進費として考えられますから保険料の支払期日の属する事業年度の損金とされます。
  2. 保険金について(所得税)
    購入者が、身体の障害に基因して受け取る損害保険契約に基づく保険金は、所得税法上非課税とされます。

●生命保険契約の権利に関する課税関係


父は生前、次の生命保険料を支払っておりましたが、父の死亡に伴う相続税の課税関係について教えてください。

  1. 契約者・被保険者=私(長男)
  2. 契約者=父・被保険者=母

  1. 保険契約者が被相続人以外であるあなたですから、その生命保険契約の権利はあなたが相続によって取得したものとみなされます。
  2. 保険契約者が被相続人であるお父様なので、その生命保険契約の権利は、みなし相続財産とはならず、本来の相続財産として相続税の課税対象となります。

なお、いずれも相続税の対象とされる金額は、原則として解約返戻金相当額とされます


●葬式費用の範囲

相続税の計算上、相続人が負担した次に掲げる葬式費用は遺産額から差し引くことができます。

  1. 葬式等に際した埋葬、火葬、納骨又は遺骨の回送その他の費用(仮葬式と本葬式を行ったときは、その両方にかかった費用が認められます)
  2. 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められる費用(寺院等に対する読経料、お布施、戒名料等)
  3. 1〜2のほか、葬式前後に生じた出費で通常葬式に伴う費用
    (会葬御礼費用、お通夜費用、飲食等費用)
  4. 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬費用

なお、香典返礼費用、初七日・四十九日等の費用、墓地等の買入・借入費用は対象となりません。


●著作権の取得とその処理について

 Q. 当社はA社と著作権譲渡の契約を締結し、ある作曲家の著作権を1千万円で取得しました。この著作権の譲受対価の税務上の取扱いについて教えてください。契約期間は著作権の消滅の日までとされています。

 A. 法人税法では、固定資産の範囲を「棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次のもの」と定めています。
 一 土地(土地の上に存する権利を含む)
 二 減価償却資産
 三 電話加入権
 四 その他の上記一〜三に準ずる資産

 ご質問の著作権は著作権法でその保護がされており、時の経過によりその価値が減少する性格ではないことから前記四に該当し、非減価償却資産として取り扱われます。

●固定資産の譲渡の時期

 Q. 平成18年5月に所有している別荘(土地・建物)を譲渡する契約を締結し、手付金として譲渡代金の20%を受領しました。
  平成19年1月にこの別荘を引渡し、所有権移転手続きを行い、残金を受領する予定です。
  この場合の譲渡所得はどの年分の所得となるのでしょうか?

 A. 譲渡所得の収入計上時期は、原則として、その資産の引渡しがあった日とされています。
 しかし、納税者の選択により、その資産の譲渡契約の効力発生日によることも認められています。
 ご質問のケースでは、原則的取扱いとして平成19年分の譲渡所得として申告しても良いですし、平成18年分の譲渡所得として申告することもできるということとなります。


●貸倒債権の50%だけを控除できる?

 消費税の計算上、課税売上に係る売掛債権が貸倒れにより回収不能となった場合には、その対応する消費税は税額控除の対象とすることができます。
  なお、消費税法上の貸倒れの要件は、会社更生法等の法律に基づく債権の切捨てが確定した場合など法人税又は所得税の計算上貸倒損失の計上が認められる場合とされています。
  例えば、手形交換所の取引停止処分があった時点では、法人税又は所得税の計算においては、債権金額の50%を貸倒引当金として費用計上できますが、消費税の計算上は、これに対応する消費税額を控除することはできないのです。

●再開業の場合の消費税の届出書の効力

 数年間休眠状態の会社を買収して、その事業の再開と同時に多額の設備投資をする場合、消費税の還付が予想されます。
  この場合、数年間、休業状態であったので、事業を再開した今期は免税事業者となっているため、今期開始の日の前日までに課税事業者を選択しなければ、還付申告はできないものと思われがちですが、次の救済措置が設けられています。
  「その課税期間の開始の日の前日まで二年以上にわたり売上も仕入もなかったような事業者が事業を再開した場合には、新規開業に該当するものとして取扱う」
  したがって、今期の末日までに課税事業者を選択すれば還付を受けることができるのです。

●固定資産税の損金算入時期

 問.当社の本店所在地A市では、固定資産税の賦課決定が、毎年6月10日に行われます。また、当社は4月決算法人ですが、この6月10日に賦課決定された固定資産税を、未払い計上することができますか?

 答.ご質問の場合の固定資産税の未払計上は認められません。
  固定資産税の損金算入時期は、原則として、賦課決定のあった日の属する事業年度です。
  たとえ納税義務の発生がその年1月1日の所有に係るものであっても賦課決定の日より前に損金算入することは認められていません。


●役員報酬の遡及増額改訂の場合における原則と例外

 業績の回復等により、遡及的に役員報酬を増額改訂して一括支給した場合には、たとえその支給額が、株主総会の決議で定められた報酬限度額以下であっても原則としてその増額部分は役員賞与とされ、損金算入されません。これは、予定された基準に基づく規則的・定期的な給与ではないことや利益処分的性格が強いと考えられること等の理由によるものです。
 しかし、次の要件をいずれも満たしている場合には、例外的に遡及増額改訂による一括支給額が役員報酬として取り扱われます。

  1. その決議が定時に開催される株主総会でなされていること
  2. 増額改訂がその決議の日の属する事業年度開始の日以後に行われることとなっていること。

相続時精算課税方式を選択した後の小額贈与

Q.平成16年中に父からの贈与について相続時精算課税制度を選択し、適用を受けています。平成17年中に父から100万円、母から80万円の贈与を受けましたが、どのように申告すればよいのでしょうか?

A.母からの贈与については110万円の基礎控除額が今までどおり使えますが、父からの贈与については、すべて申告書を提出しなければなりません。つまり相続時精算課税制度を選択した親から受ける選択後の贈与は、金額の多少に関らず、すべての贈与について申告が必要となります。
  なお、保険金の受取りや、資産の名義変更など、気づかないうちに税法上の贈与行為を行なっていないか注意が必要です。


詐欺による被害

Q.最近は「オレオレ詐欺」や「ネット詐欺」など物騒な事件をよく耳にします。万が一、このような詐欺の被害にあった場合は、所得税の計算上、雑損控除の対象とすることができるのでしょうか?

A.残念ながら、雑損控除の対象にはなりません。なぜなら、雑損控除は「災害・盗難・横領」による損失のみを控除対象としているため、「詐欺」による損失は控除できないということとなります。
  なお、地震により損害を受けた場合や空き巣に入られ、現金や貴金属(1個又は1組の価額が30万円超のものを除きます)が盗難にあった場合は、その損失額(被害額)を雑損控除の対象とすることができます。ただし、保険金等で補填される金額は、その損失額から控除しなければなりません。


給与・役員報酬の日割計上

 利益が順調に計上される会社においては、その決算対策として色々な方策が採られていると思います。ただし、ちょっとした思い込みで税務当局から否認を受けることも少なくないようです。ここでは、役員報酬の捉え方を見ていきます。
  使用人に対する給与は、労働に対する対価として雇用契約に基づき支払われるもので、日々の労働により会社側に給与の支払義務が発生するため、給与の締切日が25日となっている場合には、26日から月末までの未払給与の計上は税務上も認められています。
  これに対し、役員報酬は、会社の業務執行に関する包括的な委任契約に基づく対価であり、日割計算は馴染まず、使用人と同じような未払給与の計上は認められていませんのでご注意ください。


商品を下取りしたときの消費税の取扱い

 消費者に商品の販売をした際、消費者がその商品購入時まで使用してきた物品を販売業者が下取りをする場合がよくあります。
  この場合の消費税法の取扱いは、商品の売上(課税資産であれば課税売上)と下取りによる商品の仕入(課税資産であれば課税仕入れ)の二つの取引に区分することとなっています。
  つまり、下取りは、差引後の純額で認識する値引きとは取扱いが異なり、総額(両建て)で認識しなければならないということです。
  これは当事者が簡易課税制度を選択している場合、課税売上高に影響するため要注意です。
  なお、取引相手が課税事業者か免税事業者かどうかは、当事者の消費税法上の取扱いには影響しないという点にも留意が必要です。


家族が所有している建物でも償却できます!!

 所得税法では、事業所得や不動産所得の計算上、同一生計親族に支払う家賃や管理費などの経費は、青色事業専従者給与、事業専従者控除を除き、必要経費に算入することはできません。
しかし、その同一生計親族が支払う経費がある場合には、その経費は事業所得等の計算上、必要経費とされます。
たとえば、妻所有の建物で夫が事業をしている場合、妻に対して家賃を支払っても所得税法上、必要経費とは認められませんが、その建物の固定資産税や減価償却費などは夫の事業所得の計算上、必要経費に算入されることとなります。
なお、妻に対して家賃を支払っていなくてもこれらの経費は夫の事業所得の計算上、必要経費に算入されます。


マネキンに支払う対価

 企業が、デパート等に商品を納入している場合、そのデパートの売り場に、いわゆるマネキンと呼ばれる職業紹介所から紹介を受けて販売店員を派遣することがよくあります。
  この場合、職業紹介所は、企業の要望に応じて職業を紹介するものであり、人材派遣のように自己が雇用する使用人を派遣するものとは異なります。ですから、紹介を受けた企業が、マネキンを直接雇用することとなります。
  したがって、紹介を受けた企業がマネキンに支払う対価は、給与に該当します。
  また、職業紹介所を通じて給与を支払うこととしている場合であっても、そのマネキン個人に直接支払うべきものを単に事務手続きの都合で職業紹介所を介しているにすぎませんので、その紹介を受けた企業に源泉徴収義務があることとなります。


印紙税の過怠税

 印紙税の納付は、通常、作成した文書に印紙を「はり付ける」ことにより、納付をしますが、この「はり付け」による納付の方法によって、印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち、当初に納付すべき、印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
  ただし、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍になります。
  また、「はり付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。


交通事故の損害賠償金

 交通事故の加害者から、被害者が死亡したことに対しての損害賠償金を遺族が受けたときは、相続税の対象とはなりません。
 この損害賠償金は遺族の所得になりますが、所得税法上、非課税規定がありますので、税金はかかりません。
 損害賠償金には、慰謝料や逸失利益の補償金などがあります。逸失利益の補償金とは、もしその人が生きていれば得ることができる所得の補償金のことです。
 なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利、すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。


●弁護士報酬等の源泉徴収

 源泉徴収義務者が、弁護士や税理士などに報酬・料金を支払うときは、所得税を源泉徴収しなければなりません。
この報酬・料金には、謝金、調査費、日当、旅費などの名目で支払われるものもすべて含まれます。ただし、会社などで、直接負担した旅費や宿泊費などは、含めなくてもよいことになっています。
 また、報酬・料金の金額の中に消費税及び地方消費税の額が含まれている場合は、原則として、その額を含めた金額を源泉徴収の対象としますが、請求書等において、報酬・料金の金額と明確に区分されている場合には、その額を源泉徴収の対象に含めなくてもよいことになっています。
なお、源泉徴収税額は支払金額の10%(支払金額が100万円超の場合は超える部分について20%)です。


●内部造作の耐用年数

 建物を貸借し、その建物に内部造作を行った場合には、その内部造作を一つの資産として耐用年数を見積もって償却を行います。この場合の耐用年数はその造作をした建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して合理的に見積もります。
 ただし、その建物の賃貸借について貸借期間の定めがあり、その貸借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、その貸借期間を耐用年数として償却することができます。
 なお、同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一つの資産として償却をしますから、その耐用年数は、造作の種類別にではなく、その造作全部を総合して見積もることになります。


●中古の減価償却資産の耐用年数

 中古の減価償却資産を取得した場合の耐用年数は法定耐用年数によらず、次に掲げるものを使うことができます。

  1. 事業に供した時以後の使用可能期間を見積もった年数
  2. 1.の見積りが困難なときは次の算式により計算した年数
    1. 法定耐用年数の全部を経過した資産については、その法定耐用年数の20%に相当する年数
    2. 法定耐用年数の一部を経過した資産については、その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数。

なお、算出した年数の1年未満の端数は切捨て、その年数が2年未満の場合には2年とします。


●IT投資促進税制と少額減価償却資産の特例

 青色申告書を提出する法人又は個人事業者が、特定情報通信機器等の取得等をして事業供用した場合には、特別償却(取得価額の50%)又は特別控除(取得価額の10%)の適用が受けられます。
ただし、この特例を適用した資産については、次の3つの特例を併用することはできません。
(1)少額の減価償却資産の取得価額の損金算入(取得価額10万円未満の減価償却資産を全額損金算入する制度)
(2)一括償却資産の損金算入(取得価額20万円未満の減価償却資産を原則3年で損金算入する制度)
(3)中小企業の者等の少額減価償却資産の損金算入(青色申告書を提出する中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を全額損金算入する制度)


●社葬費用の損金算入

 法人が役員又は使用人の死亡に際し、社葬を行うことがあります。
 この場合の社葬費用については、死亡した者の経歴、地位、法人の規模などからみて社葬を行うことが相当であり、かつ、社会通念上、通常要すると認められる金額を、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入できます。
 ただし、遺族が負担すべきものは社葬費用としては認められません。例えば、密葬の費用、墓石、仏壇、位牌等の費用、墓地の購入費用又は永代使用料、香典返しなどです。
 これらの費用を負担すると、遺族に対する経済的利益の供与となりますので注意が必要です。
また、受け取った香典については法人の収入として収益に計上せず、直接遺族の収入とすることができます。


●相続税における養子の数

 相続税の計算をする際に、相続税の遺産に係る基礎控除額は、一千万円に法定相続人の数を乗じて得た金額と五千万円との合計額とされています。
 被相続人に養子がある場合に、この法定相続人の数にカウントされる養子の数は、被相続人に実子がいるときは一人、被相続人に実子がいないときは二人までとされています。
 この養子の数の制限については、基礎控除額の算定だけでなく、相続税の総額を計算する場合、死亡保険金や死亡退職金の非課税限度額の計算をする場合にも適用されます。
 ただし、民法上の特別養子縁組による養子になった人や配偶者の実子で被相続人の養子となった人などについては、実子として取り扱われます。


●老年者控除廃止と源泉徴収

 平成17年分の所得税から、老年者控除(年齢65歳以上の人で合計所得金額が一千万円以下の人が対象、控除額50万円)が廃止されます。
 これに伴って、給与所得者で扶養控除等(異動)申告書を提出している人(甲欄適用者)の源泉徴収について、注意する必要があります。
 甲欄適用者については、扶養親族等の数に応じて、源泉徴収する税額が異なりますが、平成16年12月までに支給する給与については、老年者について扶養親族等の数に1人としてカウントしますが、平成17年1月以降支給する給与については、扶養親族等の数に含めないことになります。
 したがって、支給額がまったく同じであっても、1月分以降の源泉徴収税額は、増加することになります。


●商売と経営

−商売と経営は違う。商売人と経営者とはどう違うのか−
 「商売人は、売ったり買ったりすること自体が好きな人。ほとんどの中小企業の社長は、その意味で経営者ではないと思う。経営者とは、しっかりした目標を持ち、計画を立て、その企業を成長させ収益を上げる人のことだ」
 ユニクロのブランド名で知られる(株) ファーストリテイリングの柳井正会長は、チェーン展開を本格的にやるために、単なる商売好きから経営者に生まれ変わらなくてはならない、との覚悟のもとに前記のように言ったのです。
 現在、金融機関をはじめ取引関係者が、商店主の方、町の中小工場主の方に求めているのは、”経営者であること” です。まずは、自社の目標と今後三年間の中期計画を立ててみましょう。


●少額減価償却資産

 使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満(中小企業は特例により30万円未満)の資産については、少額減価償却資産として、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金の額に算入することができます。
 この取得価額については、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
 なお、少額減価償却資産は、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金経理している場合に限り、損金の額に算入することができることとされています。
 したがって、事業に使用した事業年度でいったん資産計上したものについては、通常の減価償却資産と同様に減価償却することになりますので、その後の事業年度で一時に損金経理したとしても、減価償却限度額を超える金額は損金の額に算入できません。


●事業用固定資産の売却

 消費税で簡易課税制度を選択している場合には、第一種事業から第五種事業までの区分に応じたみなし仕入率を適用することになりますが、事業者が行う事業が第一種事業から第五種事業までのいずれの事業に該当するかの判定は、原則として、課税資産の譲渡等ごとに行うことになります。
 ところで、事業者が事業用固定資産の売却を行った場合には、たとえ卸売業者や小売業者であったとしても、その売却は第四種事業(みなし仕入率60%)に該当することになりますので、注意する必要があります。
 なお、二種類以上の事業を営む場合、いずれか一種類の事業の課税売上高が、総課税売上高の75%以上になるときは、その事業のみなし仕入率を全体に適用することができます。


●商業地等の固定資産税・都市計画税の減額

 平成十六年度税制改正で、商業地等に対する固定資産税及び都市計画税について、負担水準(前年度課税標準額がその年度分の評価額に占める割合)の上限が法定された70%の場合に算定される税額から、負担水準60%から70%の範囲内でそれぞれの市町村(東京都の特別区ついては、都) の条例で定める負担水準により算定される税額まで、一律に減額することができる措置が新設されました。
 この特例は、平成十六年度分及び平成十七年度分の固定資産税及び都市計画税について適用されます。
 ただし、実際に商業地等の固定資産税及び都市計画税の減額措置を導入するかどうかについては、それぞれの市町村(東京都の特別区については、都)が判断することになります。


●源泉税・機械計算の特例

 毎月の給与から控除される所得税の源泉徴収税額は、原則として給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を用いて計算しますが、パソコン等で機械計算を行う場合には、月額表の甲欄を適用する給与に限り特例が認められています。月額表は、社会保険料等控除後の金額の段階(階級)に応じて税額が定められています。これは各段階(階級)の中間値を前提とした税額となっていますが、機械計算の特例は、各段階(階級)の中間値ではなく、実際の金額に応じた税額によることを認めているものです。
 機械計算の特例を適用すると、毎月の税額に数十円の差が生じることがありますが、最終的に年末調整や確定申告で精算することになりますので、年税額に差が生じることはありません。


●個人課税事業者の死亡

 消費税の課税事業者である個人が死亡した場合には、死亡した課税事業者の相続人は、死亡した人の納税地を所轄する税務署長に対して「個人事業者の死亡届出書」を速やかに提出しなければならないこととされています。
 また、相続によって事業を承継した場合には、新規開業の場合とは異なり、相続によって事業を承継した年において、基準期間となる前々年の被相続人の課税売上高が三千万円(平成十七年以降については一千万円)を越えている場合には、消費税の免税事業者には該当しませんので注意する必要があります。
 相続による事業の承継によって課税事業者となった場合には、「課税事業者届出書」を提出することになります。


●交際費の消費税

 四月一日以後に開始する事業年度から、消費税の簡易課税制度の適用上限がニ億円から五千万円に引き下げられました。
 原則課税の場合には、課税仕入れに該当するかどうかの判断が重要になりますが、交際費については注意が必要です。
 お中元やお歳暮のように得意先などへの贈答品として物品を購入したり、得意先などの接待のために、飲食代を支払った場合には、課税仕入れに該当することになります。
 しかしながら、得意先などへ祝金、餞別、弔慰金などを支出した場合には、課税仕入れには該当しません。
 なお、使途不明金については、原則として仕入れ税額控除の対象とならないことになっています。

 

●固定資産税の納税義務

 固定資産税は、土地、家屋、償却資産に対して課税される市町村税(東京都の二十三区内は、都税)ですが、その納税義務者は賦課期日(一月一日)現在の所有者とされています。
 共有である固定資産については共有者の連帯納税義務となっていますので、例えば共有者の一人が行方不明のような場合には、残りの共有者が全額を負担することになります。
 ただし、区分所有家屋(分譲マンションなど)や一定の要件を満たす区分所有家屋の敷地については、共有物ではありますが、連帯納税義務が解除され、区分所有者は、それぞれの持分に応じた按分税額に対してだけ納税義務を負うことになっています。

 

●特定路線価

 相続税や贈与税の申告をする場合の土地の評価については、路線価方式または倍率方式によることになります。
 このうち路線価地域において、私道など路線価の設定されていない道路のみに接している土地を評価する必要があるとにきは、特定の路線価の設定の申出をすることができます。
 この特定路線価の設定の申出は、「特定路線価設定申出書」に土地や道路の所在地などの必要事項を記載し、住宅地図や公図などを添付して、納税地を所轄する税務署長に提出することになります。
 なお、特定路線価の設定には、通常一か月程度かかるようですので、相続税や贈与税の申告期限を考えて、早めに申し出ることが必要です。


●著しく低い価額による譲渡

 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額について、財産を譲り受けた人から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となります。
 ここでいう時価とは、その財産が土地や借地権、建物などである場合には、通常の取引価額に相当する金額により、それ以外の財産である場合には、その財産の相続税評価額をいいます。
 ただし、譲り受けた人が資力を喪失して債務を弁済することが困難であるため、その人の扶養義務者からその弁済に充てるための譲り受けであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与とみなされないことになっています。


●出国時の年末調整

 日本国内にある会社に勤めているサラリーマンが、1年以上の予定で海外の支店などに転勤したり、海外の子会社に出向したりする場合には、所得税法上の非居住者(日本国内に住所も1年以上の居所もない人)に該当することになります。
 非居住者については、国外勤務で得た給料に対して、原則として日本の所得税は課税されないことになっています。そこで、この場合には、非居住者となる出国のときに、1月1日から出国のときまでに支払いの確定した日本国内での給料を対象として、年末調整を行なうことになります。
 なお、国外における居住(滞在)期間が1年未満と見込まれる場合は、非居住者には該当しないことになります。


●印紙税の過怠税

 印紙税の課税文書を作成した場合には、印紙税の納付が必要となりますが、印紙税の納付は、通常は、作成した課税文書に印紙を貼付し、消印することによって行います。
 課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額の三倍に相当する過怠税が徴収されることになります。ただし、調査を受ける前に、自主的に不能付を申し出たときは、過怠税の額は、その納付しなかった印紙税の額の1.1倍となります。
 また、貼付した印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。


●相続税の障害者控除

 相続または遺贈によって財産を取得した法定相続人が満70歳未満の障害者である場合には、相続税額の計算において、障害者控除として一定の金額を差し引くことができます。この場合の法定相続人には、相続の放棄をした人も含まれます。
 障害者控除の額は、その障害者が満70歳になるまでの年数1年について6万円(特別障害者の場合は12万円)として計算した額です。年数の計算に当たって、1年未満の期間があるときは1年に切り上げて計算します。
 なお、障害者控除額が、その人の相続税額より大きいため全額を差し引くことができない場合には、差し引くことのできない金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。


●非課税の通勤手当

 サラリーマン(給与所得者)が、その通勤に必要な交通機関の利用または交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額については、所得税は非課税とされています。
 ただし、非課税限度額は月額10万円です。
 なお、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額には、新幹線通勤の場合の特急料金も含まれますが、グリーン料金については含まれませんので注意する必要があります。


●登録免許税

 不動産の登記に関する登録免許税の税率が、税制改正により平成15年4月1日より引き下げられました。
 また平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間は、特例として更に税率が2分の1となっています。
 所有権の移転登記に関しては、その登記の原因によって登録免許税の税率が異なっています。遺贈・贈与の場合については、2.0%(特例として1.0%)ですが、相続の場合については0.4%(特例として0.2%)とされています。
 ただし、法定相続人が遺贈により所有権の移転の登記を受ける場合については、相続による所有権の移転の登記に係る税率を適用することとされています。

 

●相続税の二割加算

 相続または遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の配偶者、子、父母(一親等の血族)以外の人である場合には、その人に対して課税される相続税額については、算出税額に二割加算した金額となります。  二割加算制度の対象とならない子には、実子だけでなく養子も含まれますが、被相続人の養子となったその被相続人の孫については、二割加算制度の対象となりますので注意が必要です。  ただし、その孫が代襲相続人である場合は二割加算制度の対象とはなりません。  なお、二割加算後の金額がその人の相続財産の課税価格に相続税の最高税率を乗じた額を限度とする規定は廃止されています。


●負担付贈与

 負担付贈与(第三者に対して債務を支払うことを条件とした財産の贈与)が行われた場合の贈与税については、贈与財産の価額からその負担額を控除した価額が課税対象となります。   この場合の課税価格は、贈与された財産の種類によって、算定方法が異なります。     贈与された財産が土地や借地権、家屋や構築物などであるときには、その贈与が行われたときにおける時価(通常の取引価額に相当する金額)から負担することとなる債務額を控除した価額によることになります。   また、贈与された財産が土地等や家屋等以外のものである場合には、その財産の相続税評価額から負担することとなる債務額を控除した価額となります。


●死亡弔慰金

 被相続人が死亡した場合に、遺族等が受け取る弔慰金や花輪代、葬祭料などについては、通常は相続税の課税対象にはなりません。   ただし、被相続人の雇用主等から弔慰金などの名目で受け取った金銭などのうち、実質的にみて退職手当金等に該当すると認められる部分については、相続税の課税対象となります。   また、それ以外の部分については、次に掲げる金額を弔慰金等に相当する金額としてその金額を越える部分に相当する金額は退職手当金等として取り扱います。  (1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、死亡当時の普通給与の三年分に相当する額  (2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないときは、死亡当時の普通給与の半年分に相当する額


●譲渡担保と譲渡所得税

 債務者が債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにし、かつ、その譲渡が債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び債権者の連署による申立書を提出したときは、譲渡所得税の課税上、その譲渡はなかったものとして取り扱われます。
1.その担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること
2.通常支払うと認められるその債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払いに関する定めがあること
 なお、これらの要件のいずれかを欠くこととなった場合や債務不履行のため資産が弁済に充てられたときは、そのときに譲渡があったものとして取り扱われます。


●海外転勤の場合の年末調整

 社員が海外の支店などに転勤した場合には、原則として日本に住所がなくなりますので、通常は、所得税法上の非居住者(日本国内に住所も一年以上の居所もない人)に該当することになります。
 非居住者に該当する場合には、転勤する日までに、転勤する人の年末調整をしなければならないことになっています。
 年末調整の対象となる給与は、転勤する日までの給与です。年末調整の際に控除する社会保険料や生命保険料については、転勤する日までに支払われたものだけが対象となります。ただし、配偶者控除や扶養控除などについては、一年分控除することができます。
 なお、社員の海外勤務に対する給与には、原則として日本の所得税は課税されません。


●土地区画整理事業施工中の宅地の評価

 相続税において、土地区画整理事業の施行区域内にある宅地については、仮換地の指定の有無やその仮換地の造成工事の進行状況に応じて評価することとなります。
 仮換地の指定を受けていないものについては従前の土地の価額に基づき、また、仮換地の指定を受けているものについてはその仮換地の価額に基づき、路線価方式または倍率方式のいずれかの方法で計算した金額によって評価します。
 ただし、その仮換地の造成工事が施工中で、その工事が完了するまでの期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額は、その仮換地について造成工事が完了したものとして評価した価額の100分の95に相当する金額によって評価します。


●セットバックがある場合の土地の評価

 相続税や贈与税の財産評価を行う場合、建築基準法第四二条第二項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に建築基準法の規定に基づいて、道路敷きとして提供しなければならない部分、いわゆるセットバックの部分を有する宅地の価額は、その宅地について道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することになります。



●満期保険金に関する税務

 生命保険の満期保険金を受け取った場合、生命保険契約の契約者(保険料負担者)と満期保険金の受取人が同一である場合については、一時所得として所得税(住民税)の課税対象となります。受け取った満期保険金から正味払込保険料と特別控除額(50万円)を差し引いた金額が一時所得金額となり、その2分の1が課税対象となります。
 所得税額(住民税額)の計算については、給与所得や事業所得など他の所得と合算して行われることになります。
  ただし、保険期間5年以下の一時払養老保険などについては、預貯金の利子などと同様に、税率20%(所得税15%、住民税5%)による一律源泉分離課税となっています。


●仮契約書等の印紙税

 一定の契約書や領収書など、印紙税法に定められた課税文書を作成する場合には、印紙税が課税されます。
 印紙税は、文書を作成する都度課税される税金ですから、たとえ取引が一つであっても、数通の契約書が作成される場合や、仮契約と本契約の二度にわたって契約書が作成される場合には、それぞれの契約書に印紙税が課税されることになります。
 また、領収書についても、たとえ仮領収書といわれるものであっても、それが金銭等の受取事実を証明するために作成されたものであれば、後に本領収書が作成されるかどうかに関係なく、金銭又は有価証券等の受取書に該当し、印紙税が課税されることになります。


●外国に住所がある場合の相続税

 相続によって財産を取得した者の住所が、日本国内にある場合には、日本国内、日本国外を問わず、相続により取得したすべての財産が相続税の課税対象になります。
これに対して、相続によって財産を取得した者の住所が、外国にある場合には、日本国内にある財産だけが相続税の課税対象になります。ただし、その場合であっても、相続人が相続開始時に日本国籍を有しており、かつ、被相続人若しくは相続人が被相続人の死亡した日前5年以内に日本国内に住所を有したことがある場合には、日本国外にある財産についても相続税の課税対象になります。
 なお、留学や海外出張など一時的に日本国内を離れている人は、日本国内の生活の本拠地に住所があることになります。


●寄附金と交際費等

 交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対し、接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
  一方、寄附金とは、金銭・物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいますので、一般的に寄附金、きょ出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれることになります。
  ただし、これらの名義の支出であっても交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれますので、判定上、注意する必要があります。
  なお、社会事業団体、政治団体に対するきょ出金や、神社の祭礼などの寄贈金など、事業に直接関係のないものに対する金銭贈与であれば原則として寄附金になります。


●自動車所得税

 自動車取得税は、自動車を取得した場合に、その取得者が納める地方税(道府県税)です。課税される自動車の範囲は、特殊自動車、二輪の小型自動車及び二輪の軽自動車を除いたすべての自動車で、新車だけでなく、中古車も対象となります。
 自動車取得税の税率は、軽自動車以外の自家用自動車が5%、それ以外の自動車が3%となっています。
 なお、取得価額が50万円以下の場合には、課税されません。
 また、電気を動力源とする自動車、ハイブリット車及び一定の基準を満たす低燃費自動車については、税額軽減の特例措置が設けられています。
 申告と納税は、自動車の登録の申請の時に行います。


●棚卸資産に係る消費税

 消費税の原則課税の場合、仕入に係る消費税額は、原則として課税仕入等を行った課税期間に控除しますが、免税事業者が課税事業者となった場合等には、棚卸資産に係る消費税額を調整します。
 免税事業者が課税事業者となった場合において、課税事業者となった課税期間の初日に棚卸資産を所有しているときは、その棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者となった課税期間に控除することができます。
 また、課税事業者が免税事業者となる場合において、免税事業者となる直前の課税期間に仕入れた棚卸資産をその課税期間の末日に所有しているときは、その棚卸資産に係る消費税を、その課税事業者であった課税期間に控除することはできません。


●贈与税と不動産取得税

 不動産取得税は、不動産(土地、家屋)を売買、交換、贈与、建築などによって取得した場合に、有償、無償の別、取得の理由を問わず、その取得者に対して課税される地方税(都道府県税)です。
 夫婦間の居住用不動産の贈与の場合、婚姻期間が20年以上あること、その不動産を贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の用に供し、引き続き居住する見込みであることなどの要件を満たし、配偶者控除を適用すれば、2,000万円(他に基礎控除として110万円)までは贈与税が課税されません。
 ただし、贈与税が課税されない場合であっても不動産取得税は課税されことになりますので、注意する必要があります。


●法人成りと消費税

 相続または遺贈によって財産を取得した法定相続人が、20歳未満である場合には、相続税額からその者の相続開始時の満年齢に応じて、6万円にその者が20歳に達するまでの年数を乗じて算出した金額を未成年者控除額として控除することができます。
 たとえば、相続開始時に満15歳の未成年者 の場合、未成年者控除額は、(20−15)×6万円=30万円となります。20歳に達するまでの年数が1年未満であるとき、または1年未満の端数があるときは、これを1年として計算します。
 なお、未成年者控除額の方が、その者の相続税額より多い場合には、その超過部分の金額については、その者の扶養義務者の相続税額から控除することが出来ます。


●相続税の未成年者控除

 消費税において、その事業年度の基準期間における課税売上高が三千万円以下である事業者は、消費税の納税義務はありません。また、新たに設立された法人のように基準期間がない法人のうち資本または出資の金額が一千万円未満のものは、原則として、消費税の納税義務はありません。
 個人事業者のいわゆる法人成りにより新たに設立された法人であっても、その個人事業者の基準期間における課税売上高は、その法人の基準期間における課税売上高は、その法人の基準期間における課税売上高とはなりません。
  したがって、個人事業者が法人成りした場合、資本又は出資の金額が一千万円未満のものは、設立事業年度とその翌事業年度消費税の納税義務は免除されます。


●広告宣伝用資産の贈与費用

 法人税法では、法人が支出する費用のうち支出の効果が一年以上に及ぶもので一定のものを繰延資産としています。
 製品等の広告宣伝の用に供する資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳、陳列棚、自動車等)を贈与したことにより生ずる費用についても、繰延資産に該当することになり、その資産の耐用年数の10分の7の年数(1年未満の端数切り捨て。その年数が5年を超えるときは5年)で均等償却することになります。
 なお、広告宣伝用資産の贈与のための費用には、資産の贈与のための現金の贈与、低額譲渡が含まれます。
 また、支出金額が20万円未満の繰延資産(少額繰延資産)については、一括損金算入ができます。


●長期損害保険料

 法人が、保険期間が三年以上で、かつ、その保険期間満了後に満期返戻金を支払う旨の定めがある損害保険契約(これに類する共済契約を含む)について、保険料(共済掛金)を支払った場合には、その支払った保険料の額のうち積立保険料に相当する部分の金額は、保険期間の満了または保険契約の解除、失効の時までは資産計上する必要があり、損金に算入することはできません。
 積立保険料以外の部分の金額は、期間の経過に応じて損金の額に算入することになります。
 なお、支払った保険料の額のうち積立保険料に相当する部分の金額とそれ以外の部分の金額との区分は、保険払込案内書、保険証券添付書類等によって区分されているところによります。


●障害者控除

 納税者本人が障害者である場合または控除対象配偶者や扶養親族に障害者がいる場合には、課税所得の計算上、障害者控除の適用を受けることが出来ます。障害者控除額は、障害者一人について27万円(特別障害者は40万円)となっています。
 障害者とは、精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く状況にある人、身体障害者手帳に記載のある人、常に就床を要し複雑な介護を要する人などをいいます。
 また、特別障害者とは、障害者のうち精神または身体に重度の障害のある人で、精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く状況にある人、身体障害者手帳一級または二級の人、常に就床を要し複雑な介護を要する人などをいいます。


●相続税の二割加算

 相続または遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の配偶者、子、父母(一親等の血族)以外の人である場合には、その人に課税される相続税額は、算出税額に二割加算した金額となります。
 ただし、加算後の金額がその人の相続財産の課税価格の70%を超える場合には、課税価格の70%が上限となります。
 なお、二割加算の対象とならない子、父母(一親等の血族)とは、実子、実父母だけでなく、養子、養親も含まれますので注意する必要があります。
 また、孫は通常二割加算の対象となりますが、子供がすでに亡くなっている場合の代襲相続人であるときは、二割加算の対象とはなりません。


●第三分野の保険契約

 生命保険会社または損害保険会社と締結する一定の保険契約のうち、生命保険会社と締結したものについては、生命保険料控除の対象とされ、損害保険会社と締結したものについては、損害保険料控除の対象とされていました。
 ところが、本年七月から、いわゆる第三分野の保険契約について相互参入が認められたため、第三分野の保険契約がどちらの控除対象となるかは保険契約の内容に応じて決まることになりました。
 具体的には、身体の障害または疾病により、保険料が支払われる保険契約のうち、入院により医療費を支払ったこと等に基因して保険料が支払われるものは生命保険料控除、身体の損害に基因して保険料が支払われる保険契約は損害保険料控除の対象となります。


●通勤交通費の非課税限度額

 サラリーマンが、通勤のため交通機関等を利用する場合に会社から支給される通勤手当(通勤用定期券の支給を含みます)については、1ヵ月あたりの合理的な運賃等の額(限度額10万円)は非課税とされ、所得税が課税されません。
 合理的な運賃等の額とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路および方法による運賃等をいいます。この運賃等の中には、新幹線通勤の場合の特急料金は含まれますが、グリーン料金は含まれないことになっています。
 なお、グリーン料金や限度額を超える場合は、給与として課税対象とされ、源泉徴収の対象にもなりますので注意してください。


●相続税における家屋の評価

 相続税の課税価格を計算する際の家屋の評価については、その家屋の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算することになっています。
 この倍率は1.0と定められていますので、自用家屋については 、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
 また、借家については、自用家屋の価額から借家権の価額を控除して求めることになっていますので、次の算式によって計算することになります。
 家屋の価額×(1−借家権割合)
 なお、借家権割合は、大阪国税局管内の市制が施行されている地域、路線価が設定している地域(40%)を除き、30%と定められています。


●賃貸借契約書の印紙税

 不動産の賃貸借契約書には、収入印紙の貼付が必要な場合と不必要な場合がありますから、注意する必要があります。土地の賃貸借契約書については、印紙税の課税対象となり、印紙税額は記載された契約金額に応じて200円から60万円(契約金額1万円未満は非課税)となっています。契約金額は権利金等の金額のうち返還されない金額によることになっています。
 なお、土地の使用賃借契約書や 駐車場の利用契約書については、印紙税の課税対象とはなっていません。
 また、建物の賃貸契約書についても、印紙税の課税対象ではありませんが、権利金等の受領の文言がある場合には、印紙税の課税対象になります。


●特別障害者扶養信託契約

 特別障害者が、信託銀行等において、その特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約に基づいて、信託受益権を有することとなる場合に、その価額のうち六千万円までの金額については、贈与税が非課税とされています。
 特別障害者扶養信託契約とは、個人が信託銀行等(受託者)と締結した金銭、有価証券その他の財産の信託に関する契約で、その個人以外の一人の特別障害者を信託の利益の全部について受益者とするもののうち、一定のものをいいます。
 なお、この規定の適用を受けるためには、その信託の際、「障害者非課税信託申告書」に必要事項を記載し、その信託銀行等を経由して所轄税務署長に提出する必要があります。


●社葬費用

 会社の創業者や功績のあった役員等が死亡した場合に社葬を行うことがあります。
 この社葬の費用は、通常会社が負担するのが一般的ですが、会社が費用を負担した場合、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、社葬のために通所要すると認められる金額について、損金の額に算入することができます。
 また、社葬の会葬者が持参した香典等の収入については、会社の収入としないで遺族の収入とすることができます。
 この場合、遺族が受ける香典等の収入は、死亡した人の社会的地位などから判断して、社会通念上相当と認められるものであれば、所得税が課税されることもありません。



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